『困難に直面したときに、あまり「苦労」っぽいモチベーションにならないところはI-neのとても良いところ』唯一無二の存在感を放つエンジニアの個性豊かな視点
ブランディング事業部の林です。こんにちは。
今回はI-ne本社にてエンジニアとして活躍されている武田さんにインタビューしました。
これまでの個性的なキャリアを振り返りながら、エンジニアとしての業務やコロナ禍での対応、専門性の高い仕事内容において問われる価値、テクノロジーを通じて大切にしている視点など、かなり内容の濃いお話を聞くことができました。
武田 倫太郎(たけだ りんたろう)
I-ne 経営管理本部 情報戦略部 情報システム課
エンジニアとしてのキャリアを積む中で「ビューティーテックカンパニー」の方向性などに惹かれて株式会社I-neに入社。主にネットワークやサーバー、アプリケーションの構築や運用などのエンジニア業務に携わりつつ、社内インフラに関する業務など多岐にわたり活躍中。
― 当時は持ちあわせていなかった技術が活かせる仕事を探したいと思った ―
林(以下、H)
本日はよろしくお願いします。まずは武田さんの業務について教えてください。
武田
現在メインの業務はI-neが展開しているブランドサイトwebサーバーの構築、その運用や最適化、そして社内業務に使用しているアプリケーションやファイルサーバーの構築運用とネットワークの運用などですね。上記に伴い、プロモーションを行う際などにI-neのwebサーバーへかかるトラフィック負荷分散の設計構築なども担当しています。
H
ずばりエンジニアといった業務ですね!それではこれまでの仕事遍歴を教えてください。
武田
最初に就職したのは自転車メーカーです。この会社はベンチャー気質の強い会社でエンジニア業務を軸にしていたのですが、台湾/中国と日本の間でタスクが横断するweb開発など、様々な仕事を経験させていただきました。そしてその会社で小さな業務アプリケーションやWEBサーバー構築開発などの相談をいただくようになり、それらを請け負っていくうちに自然とフリーランスになっていったんです。
フリーランスのときは各種プロジェクト内で欠員が出た場合にフォローで入る業務を主軸としつつ、興味ある技術のプロジェクトに参加する形をとっていました。技術的な面では、この時期が最も幅広くインプット出来たと感じています。
H
ベンチャーという点ではI-neと似た点もあったのですね。その後はどのような道をたどってこられたんでしょうか?
武田
ちょうどフリーランスの案件が落ち着いたタイミングで、最初に就職した会社の後輩に声をかけていただき自転車のパーツメーカーに就職しました。その会社では工場や倉庫内の在庫管理最適化(IoT)や基幹システムの連携など、いわゆるミドルウェアの開発を経験しました。
それからはこれは後にも触れようと思いますが、「BCTION」というアートプロジェクトにエンジニアとして参加するなどし、現在のI-neに至る形です。
H
アートプロジェクト気になりますね!後ほどお聞きします。ではI-neへの転職のきっかけを教えてください。
武田
最初の会社で経験したベンチャー感へ回帰したいという願望と、当時は持ちあわせていなかった技術が活かせる仕事を探したいと思ったことが最初の動機です。
H
数ある会社の中からI-neに就職した決め手は何だったんでしょうか?
武田
「ビューティーテックカンパニー」の方向性と、I-neのベンチャー感に強く興味をひかれたのが大きな理由です。そして最終的な決め手となったのは三浦さん(人事部)の人柄と、面談で自分がこれから進んでいきたい方向性を話したときに、すぐに具体的な社内課題を上げて説明していただけたところですね。そこで即決しました(笑)
― 難しい課題に対しても部署横断的に解決を目指す文化がある ―
H
それは三浦さんグッジョブでしたね(笑)少し話は変わりますが、今年に入って起こったコロナ禍での社内対応は、武田さんの業務範囲でいえば緊急かつ多岐に渡るもので非常に大変だったと思います。その中で具体的にどのような対応をされてきたのか教えてください。
武田
I-neはコロナ前から在宅勤務や自由な働き方を推進していたので、コロナに対しては他社と比べてもかなりスムーズに対応出来たと考えています。インフラ面では、ほとんどフィジカルなサーバーがなくAWS(Amazonが提供するクラウドサービス)での運用をメインにしていたので、移行作業は全く必要ありませんでした。
どうしても在宅から社内ネットワークにアクセスしなければいけない部分に関しては、VPN(プライベートネットワークの拡張技術)を導入した形です。
H
武田さん抜きではここまでスムーズな対応は不可能だったんじゃないかと思っています。上記に伴って、4月からは社内の動きを振り返る月次総会もオンラインでの開催となり、先日は半期に一度の全社総会も全て同じくオンラインでの開催となりました。その際の準備や、苦労したことなどあれば教えてください。
武田
I-neは「次回はもっとこうしよう、ああしよう」という、ポジティブな議論が活発に行われる文化が強くあります。なのでこの言い方は少し不謹慎かもしれませんが、自分はDIYパーティー的な感覚で結構楽しみつつできています(笑)
先日の全社オンライン総会も、社内の様々な機材やソフトウェアなどをセキュリティに考慮しながら使いましたが、現状の中で工夫し対応していく業務として前向きに捉えていました。
H
その舞台裏には私もそばにいましたが、確かにバタバタと大変ながらも楽しんで向き合っている様子は見てとれました。
武田
困難に直面したときに、あまり「苦労」っぽいモチベーションにならないところは、I-neのとても良いところですね。そしてこのような実験的な挑戦が出来るのも、I-neらしいベンチャー感の魅力がよくあらわれた一つの例だと思います。
H
ちなみに武田さんの業務において、チームを組むような形で近い動きをする方は他におられますか?高い専門性や個々のスキルによる業務の多い環境において、チームという単位ではどのように動いてられるのかなと。
武田
自分はチームとして情報戦略部の情報システム課に属しています。情報システム課のチーム構成は、全社スタッフのハードウェアを準備したりキッティングやヘルプデスク業務を行う方が2名、基幹システムなどの社内システムを導入したり保守したりする方が2名、そしてエンジニアの自分といった形です。
それぞれの業務が様々な面で関連してくるので、情報システム課のチームとして協調して進めていく部分はあります。ただその一方、これはI-neの特徴的な点でもありますが、自然発生的に部署を横断するプロジェクトが起きている例も多いと感じています。
H
普段の業務で所属しているチームを越えて協力しあう場面ですね。
武田
そうです。先日もそれをすごく象徴するような出来事がありました。全社オンライン総会の配信終わりに当日を振り返りつつ片付けの作業をしていると、人事部長の中澤さんが「動画配信の経験があって機材関係も詳しい方を見つけた!」といって新しくI-neに入社された阿部さんを連れてきてくれたのですが、その場で色々と相談して話しているうちに、すぐにもう阿部さんはプロジェクトにアサインされていたという(笑)
H
それは早いですね(笑)でも何かしらの専門的な知識を有する方が、部署を越えて必要とされる場面は多いような気もします。
武田
上で話した例でもあるように、とりわけ突発的・偶発的に発生したような課題に対しては、中央集権型ではなく部署を横断しながら各自のスキルを持ち寄りあい、自然発生で進む形をとることはよく見受けられますね。この形はI-neのすごく魅力的な所でもあると感じています。そのように難しい課題に対しても部署横断的に解決を目指す文化があるので、安心して課題に取り組むことが出来ています。
H
あと全社オンライン総会の時に思いましたが、かなり専門的な音響機器を操られていたのが印象的でした。音楽などにまつわる交友関係も広いと耳にしたことがありますが、武田さんも何かご自身で作られたりすることはあるのでしょうか?
武田
音楽は大好きで、自分でも作ってみようと思ってElektronという機材を買ってみたことはあったのですが、絶望的な曲が出来上がって2時間くらいでやめちゃいましたね・・・(笑)
でも上でお話しした全社オンライン総会もしかり、趣味で行っていることが業務やプロジェクトに還元できるのは、とても楽しくて良いことだと思いました。
H
機材の扱いが手慣れているなと感心して見ていました(笑)この流れで先ほど話に挙がったアートプロジェクトのことも聞きたいです。
武田
自分の友好関係に関するところにもなりますが、経歴のところでお話しした「BCTION」は昔から親交のあったKotaro Ooyama(Mon)氏に誘われて参加したプロジェクトで、「遊びを解析する」をテーマにアートを活用したプロジェクトを行っています。アートや音楽(イベントやパーティー)、テクノロジーを横断的に行き来するプロジェクトに参加したことは、自分の中の様々な面で大きなインプットになりました。
そしてこのI-neにも音楽を趣味にされている方が沢山おられて、情報交換も盛んにできたりするので音楽好きの方にとっては最高の職場環境だと思っています。
BCTION
http://bction.com/about.html
― インフラのボトルネックが原因で思い描いた施策が行えず、商機を逃したりするのは最もあってはならない ―
H
武田さんは「イノベーション」といったものに関してどのように捉えていますか?専門性が高いゆえに、スキルや知識がとても重要となる業務の中で、常識やフォーマットを踏まえつつも逸脱することを時に求められることがあると思うのですが。
武田
直接的な答えではないかもしれませんが、イノベーションがI-neからいつ起きても大丈夫なように、バッファを持った設計や構築をすることは常に意識しています。それらを踏まえてビジネス的に攻める側のチーム(マーケターなど)がやりたいと思ったことを即時に出来るよう設計していくことが重要で、そういった際にインフラのボトルネックが原因で思い描いた施策が行えず、商機を逃したりするのは最もあってはならないことだと考えています。
H
上の延長線な質問となりますが、武田さんのような専門性の高い仕事では相対的にみて成果を上げたり、価値を高めていくということは傍から見ると難しいようにも思います。もし何かそういったことを解消するために意識して実践されていることなどあれば教えてください。
武田
意識していることを一言で集約するならば「プロセスを出来るかぎり標準化する」といったところです。専門的な技術が必要とされる作業をレゴブロックのように分割して部品開発し、それらをシチュエーションに合わせて組み合わせながら、またそれぞれのオペレーションで使用するようなイメージを意識しています。
その部品を出来るだけ準備しておくこと、そして煩雑な作業を完了させて新しい技術を試したりすること、さらには課題に対するソリューションに組み込んだりすること、その一つ一つが小さなことでもコツコツと積み重ねていくことで社内のナレッジが蓄積されることにもなり、やがては大きな価値をもっていくと考えています。
H
いずれも素晴らしい考えだと思います。移り変わりの早い業界ゆえに、様々な情報インプットは大切な要素になってきますが、普段から意識されていることなどはありますか?
武田
コツと言って良いのかわからないですが、Googleで何か調べるときに単語を英語でも検索するようにしています。例えば「ボディソープ」で検索した際の検索結果は約5500万件ですが、「body soap」で検索した際の検索結果は約6億件を超える数がヒットするんです。日本語圏よりも英語圏の方が人口が多いので、ただ同じ単語でも約10倍といった差が出てきます。
もちろん全結果を閲覧することは出来ませんが、有益な情報に出会える確率も10倍高くなるような気がしているんですよね(笑)ちなみに翻訳サービスは「DeepL」というサイトがすごく高い精度なのでおすすめです。
DeepL
https://www.deepl.com/en/translator
H
検索結果の差は凄いですね!シンプルなことですが個人的には目からウロコです。業界の近い方と情報交換するようなこともあるのでしょうか?
武田
そうですね、オンラインではインプットしたいプロジェクトのチャットに参加したり、フォーラムで質問したりするなどして情報確認をすることが多いです。オフラインではカンファレンスに参加したり、今までに一緒に仕事した友人のエンジニアや、オープンソースコミュニティで仲良くなった方との情報交換を都度しています。
しかしコロナの影響でオフラインのテックカンファレンスも減ってしまい、これまでより情報収集の手段もオンラインにシフトしているので、既存のインプット方法から変化していく必要があると今回のインタビューであらためて思いました。
H
武田さんはテクノロジーやそれらにまつわる技術、といったものをどう捉えているかお聞かせください。
武田
Boss(ユーザー)とテクノロジーという部分でお話できればと思うのですが、一つ例を挙げると岐阜県郡上市の「郡上おどり」という毎年のお祭りが、今年はコロナの影響によって現場で行っている祭りの模様をライブ配信し、同時にzoom参加も募る形で開催するとの発表がありました。こうした離れた場所で行われているイベントに、自宅などからインスタントにソーシャルディスタンスをとって楽しめるようになることはテクノロジーの素晴らしい部分だと思います。
そして別の例として、毎年アメリカのネバダ州ブラックロック砂漠で行われている「Burning Man」というイベントは、独自のKindlingというプラットフォームを開発して完全バーチャルで開催すると発表しました。
ただ、この2つは一見すると同じようなテクノロジーの使われ方をしていますが、Boss目線になってみると大きく違うのではないかと感じています。
H
どちらも面白い試みだと思います。長い歴史のある伝統的な催しと最新テクノロジーのコントラストはとても刺激的ですね。しかし武田さんの感じる違いとは何でしょうか?
武田
ユーザー(Boss)体験という点において、郡上おどりの場合は現場での参加者とストリーミングでの参加者では、同タイミングとはいえ郡上おどりの体験に差が出る形になりますが、Burning Manの体験は世界中のユーザー(Boss)全員が同じ体験を共有することになります。
これはかなり大きな違いと感じていて、もちろん郡上おどりの取り組みも素晴らしいものですが、ユーザー(Boss)体験のクオリティを統一するためにプラットフォームを独自に開発するBurning Manは自分の視点から見るとすごくBoss目線だと感じました。
つまり、同じようなテクノロジーを活用したサービスでも、ユーザー(Boss)体験には大きな違いが生じる場合があると感じています。こういった目線は「ビューティーテックカンパニー」を掲げるI-neで働く上でも、様々な場面で大切にしていきたいですね。
H
すごく興味深いお話でした!最後になりますが、今後I-neで挑戦したいことなど教えてください。
武田
先ほどの質問ともつながりますが、I-neらしい「Boss目線」ノウハウの詰まったコンテンツを直接提供する、サービスプラットフォームの開発に挑戦してみたいです。
H
期待しております!本日はどうもありがとうございました。