「BOTANIST」が実現する、事業とサステナブルの両立。
「BOTANIST」が実現する、事業とサステナブルの両立。
I-neの事業を牽引するBOTANISTは、22年12月末時点で100億円を超えるブランドへと持続的な成長を遂げています。事業としての成長だけではなく、全社的にサステナブルな社会を実現するための取り組みにも力を注いでいます。その中心となったメンバーに、ブランドとしてのサステナビリティの考え方、実践してきたこととその成果、事業との両立性について聞きました。
※所属、役割は取材当時のものです。
ビューティーケア事業本部 ブランドマネジメント部
小林 麻美
食品メーカー勤務を経て、2016年に食品の企画開発担当としてI-neへ入社。2017年末からBOTANISTの開発担当、2018年秋からブランドマネージャーに。ブランド運営の責任者として、戦略立案から戦術実行まで全体のプロジェクトマネジメントを推進。2024年からはヘアケアの新ブランド「Qurap(キュラップ)」の立ち上げを担当し、新たなヒットを生み出すために挑戦中。
ビューティーケア事業本部 ブランディング部
東野 藍子
印刷会社でアートディレクターを経験後、2017年にI-neへ入社。他ブランドの兼務を経て、2019年よりBOTANISTブランドディレクターに。ブランドパーパスに基づいて、ロゴやパッケージ、キービジュアル、販促物、プロモーションなどの全アウトプットを一貫してディレクションし、“BOTANISTらしさ”を築き上げた。2024年からは担当領域を広げ、ビューティーケア事業本部の全ブランドを管理する立場に。
ビューティーケア事業本部 商品企画開発部
吉田 周平
サロン専売のヘアケア研究開発を経て、2022年にI-neへ入社。当初からBOTANIST担当としてヘアケアからボディケアまで幅広い商品開発を担い、ブランドコンセプトに基づいた成分選定から使用感評価まで行う。開発における中心メンバーであり、リーダーシップを発揮しながら日々研究開発・商品企画に勤しむ。
ブランドパーパスとサステナビリティの親和性
数あるブランドの中でも事業を牽引しサステナビリティを推進しているBOTANISTですが、これまでどのように向き合ってきたのでしょうか?
小林
BOTANISTは2015年1月、ボタニスト(=植物学者)という名の下に、「植物と共に生きる」というコンセプトを掲げて生まれたブランドです。植物由来の成分を配合したヘアケアやボディケア商品をリリースしながら、「部屋の中に一輪の花を飾る」など、身近なところに植物がある暮らしの心地良さを提唱してきました。そして2020年、5周年を迎える節目のタイミングで今一度ブランドを見つめ直したことが、大きな転機となりました。
東野
「植物って良いよね」というマインドはずっとあったものの、そのレベルに留まっていて良いのかと。改めて、「植物と共に生きる」とはどういうことなのか? そのために何ができるのか? とことん突き詰めて、言語化して発信しようということで、相当な時間をかけてメンバー間で話し合いました。
小林
議論の過程では、植物学を研究する大学教授にも話を聞きに行きました。
そして、改めて植物に眠る力には大きな可能性があり、それを引き出すことが植物学者を名乗るブランドの使命なのだと痛感。最終的にBOTANISTだからこそできることは、植物の恩恵に深く敬意をはらい、植物の持つ力や美しさをより広く学び、深く探求すること。そして、植物と人が、どちらも豊かに共存できるように、植物の保全を通して持続可能な地球環境をサポートすることであると定めました。私たちに今すぐできることはまだ少ないかもしれないけれど、でも一歩ずつ、できることから取り組んでいこうとメンバー全員のスタンスが変わったのは、まさにここからです。
ブランドパーパスに徹底的に向き合った結果、意識改革が行われ、サステナビリティにつながったのですね。
小林
はい。最終的に、これからBOTANISTはこうしていきます! と社内外に表明しました。それからは、具体的な施策やキャンペーン、商品の配合成分を決める際にも、意思決定がしやすくなりました。
サステナビリティの追求を具現化した数々のアクション
方向性が定まって以降、具体的にどのような行動を起こしていったのですか?
東野
主なものをいくつか挙げると、まず2021年にブランド初のリニューアルを実施した際、処方のアップデートに加えて、容器をバイオマスPET配合のものに変えました。
また、同じく2021年から森林保全団体のmore treesと協働で、北海道美幌町(びほろちょう)にて「BOTANISTの森」づくりを開始。カラマツの伐採跡地にBOTANIST商品のキー成分である白樺など複数の樹種を植林して、本来あるべき多様性のある森を再生する活動を行っています。
一方、2022年からは、絶滅の危機にあるソメイヨシノを後世に残すためのアクションに着手。サクラをテーマに展開するボタニカルスプリングシリーズの売り上げの一部を「(公財)日本さくらの会」を通して寄付することで、兵庫県立明石公園にあるソメイヨシノの樹勢回復といった保全活動を支援しています。
さらに、2023年には植物資源の循環プロジェクトをスタートさせ、北海道中川郡美深町に「BOTANIST白樺ファーム」を開設。商品に使用した分だけ白樺の木を植え、育て、そこからまた樹液を採取して使用していくというサイクルを目指した取り組みを進めています。
小林
特に森づくりを始めたことは大きいです。私たちも実際に現地で植林活動をしていますが、そこで知ったのが、1本1本の木が成長して豊かな森になるまで、白樺から樹液を採取できるようになるまでには、何十年もかかるということ。であれば、BOTANISTも何十年と続くブランドに育てていかなければならないなと。始めたからには、ブランド自体もサステナブルであるべきなのだと、強く責任を感じるようになりました。
具体的なアクション(一部抜粋)
- 2017年 森林保全の支援をスタート
- 2019年 廃棄ロスを減らす観点でBOTANISTアウトレット店舗「BOTANIST Factory」の展開を開始
- 2020年 ボタニストのSDGsを宣言
- 2021年 「BOTANISTの森 」運用開始
- 2021年 定番ラインのシャンプー/トリートメントにバイオマスプラスチック容器を採用
- 2022年 売り上げの一部を「(公財)日本さくらの会」を通じて寄付し、保全活動を支援
- 2022年 BOTANISTの森にて、4,000本の植林を実施
- 2023年 人と植物がいつまでも共に生きられる地球環境を保全及び創造することを目指す、BOTANIST財団を設立
- 2023年 白樺原料用農場「BOTANIST白樺ファーム」を北海道中川郡美深町に開設
- 2023年 定番ラインのシャンプー/トリートメントのパッケージの環境対応
- 2023年 国産原料への切り替えを進め、従来よりもトレーサビリティに配慮した処方を実現
→BOTANISTのサステナビリティ活動詳細はこちら
そのようなタイミングで2022年、吉田さんが入社してBOTANISTチームに加わりました。ブランドの取り組みに対して、想像とのギャップはありましたか?
吉田
とにかく、ものすごくこだわっているなと。ブランドとして納得できるのか? 本当にこれで良いのか? と妥協せずに徹底的に突き詰めて考え議論する熱いムードが、チーム全体に浸透していて驚きました。また、サステナブルな取り組みにもめちゃくちゃ本気で、確固たるイメージを持って、しっかりと投資もして、発信し続けていることには感動しました。だから、後から加わるメンバーとしても意思を継ぎやすかったですし、サステナブルな取り組みに対して感度が高い方だと思っていた自分自身ももっと出来ることを発信していこう、とマインドチェンジ出来ました。
また、私は何度か植林活動にも参加していて。現地で森を守る方のお話を聞きながら、実際に苗木を植えて、成長していく過程を想像する。その度に、ブランドのことを思い直したり、理解や意識を高めたりすることができています。しっかりと目的を持って継続して、守り続けて、循環させていかなければという思いを強く持っていますね。
サステナビリティの加速と周囲の変化
サステナビリティを推進することで、周囲の反応は変わりましたか?
小林
BOTANISTがコツコツと取り組むうちに、少しずつ社内で認知・拡大されて、全社的にサステナビリティへの意識が高まっていったイメージです。
森づくりは当初あまり注目されていませんでしたし、容器のバイオマス化についても当時、コストも手間もかかる中で本当にやるのか? どうしてやる必要があるのか? という声があって。でも、私たちとしてはブランドミッションへの意思があったので、それでもやるんだ! という強い思いで進めた経緯があります。それがやがて会社全体にも波及して、今はむしろやらないほうがおかしいよね? ぐらいの雰囲気に変わりましたね。
東野
確かに。少しでも良い選択をするのがBOTANISTだよね? じゃあ、今できることはやったほうが良いでしょう! と押し切って。そこから数年経って、かなりムードが変わりました。
小林
社内的には、有志で行うボランティア活動の内容も変わってきていて。大阪の鉢伏山の一角で、台風被害を受けた森の再生活動を始めたのもその一つ。一般的に会社のボランティア活動というとゴミ拾いや清掃が多いのに対して、I-neでは植物に関わることや自然に還元する活動がしたいという声が多かったみたいなんです。会社としての活動にBOTANISTが最初にやり始めたことがリンクして、広がっているように思います。
吉田
開発の立場で言うと、ものづくりのタッグを組むパートナー企業の方々にもかなり認知が広がっている実感があります。というのも、最近は原料や香料の会社さんから、サステナブルの視点で「この素材、BOTANISTに合うと思うのですが、どうですか?」とご提案いただくことが多いんです。周囲を巻き込みながら、ますます可能性が広がっていると感じています。
東野
広報部のメンバーも似たようなことを言っていました。メディアの方々から、BOTANISTは社会的な活動を推進するブランドであり、I-ne自体もそういう企業だという印象を持たれている実感があると。例えば、SDGsにも関連する〇〇の日などが近づくと、「何か取り組みをされますか?」といった問い合わせをいただくことが増えてきているようです。
小林
あとは実際にBOSS(お客様)からも、BOTANISTは植物由来のシャンプーというだけではなく、環境保全に取り組むブランドというイメージがあるし、そこに全く違和感がないというコメントをいただくようになりました。
また、「BOTANISTの森」については2023年からサッポロドラッグストアーさんが参画してくださったり、地元の小学生に森づくりのプロセスを通じてさまざまな自然体験や学びを提供する機会が増えたり。私たちの活動に賛同、協力してくださる方が増えて、どんどんBOTANISTだけに留まらない取り組みに発展していることを嬉しく感じます。
これからも続くサステナビリティへの挑戦
改めて、これからもサステナビリティの視点で、どうありたいと思いますか?
小林
BOTANISTとしては2023年に再び、ブランドとしてやるべきことは何か? メンバーでじっくり話す機会があったのですが、そこで出たテーマが、自然が好きな人を増やすということ。私自身、植林活動もそうですし、自然の中にいるととても気持ち良く、元気になると感じていて。そういった自然と一緒に生きたい人、植物が好きな人が増えることが、環境保護に対してはもちろん、将来的にBOTANISTユーザーが増える可能性にもつながるのでは? と結論付けた時に、メンバー内でより一層今の活動に意味が見出されたんです。
だから今後は、次世代を担う子どもたちや、これまで自然に触れてこなかった大人たちが自然派になり得る体験の提供、きっかけ作りをしていくことにもフォーカスしていく考えです。
吉田
開発としては、やはりブランドが思い描く理想を商品としても実現しなければという使命感があって。もちろん、ヘアケア商品としてのパフォーマンスを最優先にしつつ、成分や素材に関してもサステナブルやアップサイクルの要素をしっかりと実現し、機能させていくことを課題として取り組んでいきたいと思います。
東野
やはり大切なのは、続けて、発信して、次世代につなげることかなと。私の小学生の娘も、以前一緒に「BOTANISTの森」で植林を経験してから、BOTANISTやI-ne全体で取り組むサステナブル活動にすごく興味を持ってくれるようになったんです。自身の体験を日記に書いたり、学校で友だちや先生に話したり、自由課題のテーマに活動のことを選んで発表したり。そうやって、周りにも広めてくれています。
今の子どもたちが大人になった時には、環境に良いことをしているブランド、会社が当たり前に選ばれる。そんな時代が来ると考えた時に、やはりその優位性をBOTANIST、I-neが保っておきたいという思いは強くあります。また、BOTANISTと同様のことを全てのブランドで実践し、サステナブルな社会を実現していきたいです。
事業として結果を出すだけにとどまらず、サステナビリティの推進に舵を切り、具体的な行動と共に着実な成果を上げ、サステナブルブランドとして確立したBOTANIST。その精神は今やI-ne全体に波及し、さまざまな取り組みへと発展しています。また、社外の方々も巻き込み、さらなる広がりを見せています。これからもI-neはMISSION実現に向けて、事業とサステナビリティの両立に挑み続けていきます。
→中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)はこちら