I-ne、メラトニンシステムに包括的に作用 睡眠時の肌トラブルを効果的に抑制する独自成分コンプレックスを創出
株式会社I-ne(本社:大阪市中央区、代表取締役:大西洋平 証券コード:4933 以下I-ne)は、睡眠時に肌の修復に作用することが知られているメラトニンに対して、当該効果を最大化する重要要素であるメラトニンシステムに広範に作用できる独自成分コンプレックスの創出に成功しました。この独自成分コンプレックスにより、睡眠時の肌修復機能を最大限に高める効果が期待されます。
I-neは夜間の美容習慣の質と効率を高めるための新知見・技術の探究を行い、Social Beauty Innovatorsとして、本技術の応用、市場への価値創出を続けることで、Chain of Happinessの実現に取り組み続けてまいります。
背景と課題
睡眠と肌は密接に関係しており、睡眠中に、紫外線や外的ストレスによって生じたダメージの修復に取り組む「肌再生のゴールデンタイム」を迎えるといわれております。近年、夜間に増える「メラトニン」が肌の修復に重要な因子であることが解明され、メラトニンが日中に受けた紫外線や活性酸素などのダメージから肌自らを修復させる作用があると考えられるようになりました。メラトニンは強力な抗酸化作用、DNA修復促進、細胞保護など多面的な機能を持ち、主に睡眠時に作用することから、熟睡美肌因子と位置付けることができます。
一方、昨今睡眠不足に悩む人は5人に1人といわれております(厚生労働省 令和4年 国民健康・栄養調査の結果より)。これは身体だけでなく肌への影響も非常に大きく、肌再生の妨げとなっていると考えられており、たった一晩の睡眠不足でも、肌の保湿力、弾力性、透明感、毛穴目立ちなど多くの影響を与えることが報告されています(J. cosmetics, dermatological sciences and applications, 2017,7,34-47)。
睡眠不足による肌再生の妨げに対するケアは、QOLを高めるうえで非常に重要な課題です。メラトニンの作用の強弱は、複数の要因でコントロールされております(メラトニンとして働く、メラトニンをつくらせる、メラトニンの感度を上げる)。これまでそれぞれの要因に対するケアはありましたが、これらに包括的に働きかけることで効果的に作用できる「メラトニンシステム全体へのケア」はほとんどありませんでした。
独自成分コンプレックス成分の内容
I-neは、この「肌メラトニンシステム全体」に着目し、
・(メラトニンの感度を上げる成分)メラトニン受容体(MT1)の発現亢進
・(肌メラトニンを作らせる成分)皮膚内メラトニン産生促進
・(メラトニンとして働く成分)メラトニン様作用(メラトニンミメティック)
という3方向のアプローチを同時に実現する3種エキスの独自成分コンプレックスの開発を実現しました。

図1 独自成分コンプレックスによるメラトニンシステム全体へのアプローチ
まず、表皮細胞のメラトニンの感度を上げる成分(メラトニン受容体の発現亢進)を探索する為に、メラトニン受容体MT1を指標に様々な成分をスクリーニングした結果、ウワバミソウ発酵成分(アスペルギルス培養物)に表皮細胞のメラトニン受容体の遺伝子MTNR1Aの発現を高める効果を発見しました。
【方法】
ヒト不死化表皮正常角化細胞にウワバミソウ発酵成分を1.0ppmで添加し、KGM培地で24時間培養。細胞からRNAを抽出しMTNR1Aの発現量についてリアルタイムqPCRを用いたΔΔCt法にて解析した。

図1 ウワバミソウ発酵成分のMTNR1A(メラトニン受容体)発現 平均値 ±S.D. n=3~4、t検定 P<0.05
さらに、このウワバミソウ発酵成分に、クチナシ果実エキス(メラトニンとして働く成分)、ラバンデュラハイブリダエキス(肌メラトニンを作らせる成分)を加えた三成分を用い検討した結果、メラトニンシステムが最適に働ける最適濃度を発見することができました(メラトニン作用の指標として、メラトニンの代表的な効果である酸化ダメージに対する防御作用を指標に評価)。
【方法】
不死化表皮正常角化細胞に独自コンプレックスを含む10%FBS含有DMEMにて24時間、細胞を培養した。
24時間培養後、終濃度60mMとなるように酸化ダメージ試薬(tert-Butyl hydroxyperoxide)を添加し、37 ℃、5 %CO2条件下で2時間培養。各検体を含む培地を再度加えて24時間培養後、WST-8を用い、細胞生存率を測定した。

図2 オリジナルカクテルのメラトニン作用評価 平均値±SD、閉手順によるt検定 N=4、※:p<0.01
補足資料
メラトニン
メラトニンは、主に脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計の調節や睡眠の誘導に深く関わっています。しかし近年の研究では、皮膚においてもメラトニンが自ら産生されていることが明らかとなっており、その役割が注目されています。皮膚におけるメラトニンは、紫外線や乾燥などの外的ストレスから細胞を守る抗酸化作用、細胞の修復促進、炎症の抑制など、肌の健康を多角的に支える働きを担っています。こうした作用は、日中に受けたダメージを夜間に修復する「夜間の肌再生メカニズム」において重要であり、メラトニンは美容やエイジングケアの観点からも注目される成分となっています。
メラトニンシステム
「メラトニンシステム」とは、皮膚におけるメラトニンの産生、メラトニン受容体を介した細胞応答、そしてその下流の抗酸化・抗炎症・修復促進といった一連の生理的プロセスを包括的に指しています。皮膚は外界に直接さらされる器官であり、その恒常性を維持するために自律的な防御機構を備えています。メラトニンシステムはその中核の一つであると考えることができ、肌が日中に受けた環境ストレスを感知し、夜間にその修復や再生を促すために機能します。
メラトニン受容体
メラトニン受容体は、メラトニンのシグナルを細胞内に伝達するための膜タンパク質で、現在までに主にMT1(MTNR1A)およびMT2(MTNR1B)の2種類が同定されています。これらは中枢神経系のみならず、皮膚や毛包、免疫細胞などにも広く発現しており、メラトニンによる抗酸化・抗炎症・細胞保護といった作用を媒介する重要な構成要素です。受容体の発現量がメラトニンの有効性を左右する要因の一つであると考えられています。
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